Yorkshire PARKIN

   “Parkin”はイングランド北部で親しまれている、オートミールと糖蜜を使用した伝統的な焼き菓子です。しっとりとした食感が特徴で、焼き上がりから2、3日熟成させて食べます。程よいジンジャーと糖蜜の香りで、寒い季節にぴったりのお菓子です。


   ヨークシャー州のパーキンは、毎年11月5日に行われる「火薬陰謀事件」に因んだ行事、「ガイ・フォークスの焚き火祭」で食べられることが有名です。
   1605年、英国王ジェームズ1世の「国教会優遇政策」のもと厳しい弾圧を受けていたカトリック教徒たちが、国王暗殺のために なんとも大胆な陰謀を企てます。大量の火薬を使用して、議会の日に議事堂ごと爆破してしまおうというのです。

   着々と準備は進み 歴史が変わるかと思われたまさにその日、情報が漏れて計画は失敗に終わります。 実行責任者だったガイフォークスは捕らえられ、仲間とともに首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑に処されました。
   計画が阻止された11月5日、ロンドン市民は王の無事を祝して篝火を焚いたといいます。そして、この事件を忘れないために行われるようになったのが、「ガイフォークスの焚き火祭」です。
   毎年11月5日が近づくと、子供たちは古着や藁でガイの人形を作り、近所中を引き回しながら 焚き火や花火のためのお金を集めます。当日はイギリス各地で篝火が焚かれ、ガイの人形もここで燃やされます。あちこちで花火が打ち上げられ、イギリスでは夜遅くまで大騒ぎの一大イベントだそうです。
   このなんともイギリスらしいイベント、ヨークシャー州ではパーキンを片手に花火を楽しむのが習慣となっているようですが、パーキンもまたイギリスらしい味わいです。熟成させると、一層しっとり感が増して、歯にくっつきやすくなるので、ぜひ紅茶と一緒にお召し上がりください。
つくりかた

Directions

  オーブンは170度に予熱しておきます。

  ボールにオートミール、小麦粉、ブラウンシュガー、おろし生姜と細かく刻んだドライジンジャーを入れて混ぜます。よく混ざったら真ん中に穴を掘っておいてください。

  小さめの鍋にバターを溶かし、糖蜜と廃糖蜜を加えて沸騰しない程度に温めます。

  ②で掘った穴の中に③の蜜を注ぎ、その上に重曹を入れます。重曹の上に酢をかけ、そのまましばらく泡立たせます。

  先ほどの小鍋で牛乳を温めます。あまりあたため過ぎず、60度くらいで火を止め、⑤のボールに入れてよく混ぜ合わせます。

  薄く油を塗ったオーブン皿に⑤を注ぎ入れ、170度のオーブンで45分焼きます。手で押してみて、程よい弾力と湿気があり、濃い茶色になったら焼き上がりです。

  オーブンから取り出し、そのまま放置してよく冷ましてから切り分けてください。そのまま食べても良いですが、密閉容器に入れて2・3日熟成させるとさらにしっとりして美味しいです。